吊かご方式は、当社の最大能力2000N以下の圧縮・引張コイルバネ試験機において「吊りかご方式」とよんでいる荷重の検出機構と、この機構を支えている「リンク機構」を備えています。
これらの機構は、一般的に使用されている荷重の検出器である「ロードセル」の荷重精度を向上するために有効と考えております。
ロードセルに直接バネの荷重を負荷する場合(特に圧縮コイルバネにおいて)との比較し優位点についてご説明致します。
コイルバネを圧縮すると、その荷重点は、コイルの中心にはなくコイルの外周近傍を移動します。このため、ロードセルに直接荷重を負荷する方法では、この偏心荷重用の特殊なロードセルを使用する必要があります。
偏心荷重に対し当社の「吊りかご方式」はロードセルにかかる偏心荷重をなくす働きを持っています。
圧縮コイルバネを圧縮すると、そのコイル外径は増大し、圧縮治具(圧縮板など)に対して回転力をあたえます。(特に、コイル径が大きく、疎巻のバネ)
ロードセルに直接荷重を負荷する方法では、この回転力も同時に検出してしまうため、正しい圧縮方向の力を検出できません。
フジイの「吊りかご方式」は、ロードセルに回転力をあたえません。
荷重の精度を確認する場合、フジイの「吊りかご方式」は圧縮板の上に基準分銅を載せるだけで、引張と圧縮両方の荷重精度を一度に確認することができ、荷重精度の社内点検が簡単です。
移動部にロードセルを組み込み、圧縮板を下向きに取り付けてある試験機では、荷重精度を確認するの際、基準分銅を載せるためにロードセルの方向を逆転させるか、特殊な校正用治具が必要になります。
「吊りかご」を支えている「リンク機構」は特に低荷重の場合、バランスウェイトにより機械的追従性を向上しています。また、さらに微小荷重では、「リンク機構」の支点に、ナイフエッジを採用し、リンク部の摩擦を軽減しております。この機構により、最大負荷能力「5000mN」のレンジを持つ試験機においては、追従感度「0.1mN」の分解能を実現しております。
「リンク機構」を採用することにより、「ロードセル」と「吊りかご」を物理的に切り離し、ロードセルには、垂直荷重のみが、1点で負荷されます。ロードセルに「吊りかご」を直接取り付ける試験機では、その吊りかごを支える為の機構に、摩擦や圧縮板の平行度に影響が受けやすく、試験機本体の据付の水平レベルも要求されます。
フジイの「小型圧縮/引張コイルばね試験機(0.5N〜2000N)」は、すべての機種に「吊りかご方式」と「リンク機構」を採用しました。